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国立大学法人 電気通信大学

研究内容

研究概要

「種々の計測技術を活用してヒトの暮らしを快適にする」

種々の計測技術を活用・応用して快適な生活を送るためのツール開発がテーマになっています。 例えば、バルーンロボット。屋内で空中遊泳するロボットの挙動を計測、その動作を適切に制御して空間演出する技術を研究しています。 また、触覚ディスプレイ技術を発展させてヒトへスマートに情報伝達するための技術も研究しています。

【バルーンロボット】

魚型バルーンロボットは、バルーン機体にヘリウムガスを充填することで浮遊し、魚の鰭動作を模倣した推進機構で遊泳する魚形状のロボットです。 魚型バルーンロボットの弱点は気流の影響を受けやすい点にあり、従来より独自の制御法が求められています。 私たちの研究では、魚型バルーンロボットの制御に深層強化学習(Proximal Policy Optimization)を応用し、遊泳動作の自律的な獲得を試みています。

魚型バルーンロボットは魚のくねり運動を模倣して空気を後方へ掻き流して前進します。 このロボットの長時間稼働を想定するとき、稼働中の異常検出・緊急停止機能、および推進効率が重要な課題になります。 まずは、魚型バルーンロボットの関節部にかかる負荷を実時間計測して保護する方法を考えます。 私たちの研究では、アクチュエータからの動力を伝える関節部周辺で計測される圧力と加速度から関節部にかかるトルクを推定する方法を検討しています。 圧力値・加速度値は軽量小型のセンサで計測できますから、当該トルク推定装置は積載重量が制限されるバルーンロボットにも搭載可能です。

本研究で検討しているバルーンロボットは胸鰭を前後に振る胸鰭運動を推進機構とした飛行船型ドローンです。 私たちは、当該バルーンロボットの自律制御を目的としてモデル予測制御の適用を検討していますが、この場合、ヘリウム充填率や気温変化による大気密度の変化等の影響が問題です。 この研究では、強化学習を用いたモデル予測制御の適用によりこの問題を解決することが目標です。


【触刺激を利用した情報提示技術】

歩行は日常生活において必要不可欠な行動であり,歩行に支障をきたすとき生活に大きな影響が出ます。 身体の姿勢維持・機能向上の支援技術は歩行安定化に寄与しますが、例えば視覚聴覚を介した言語的表現による支援技術などは提示情報の解釈が完全に当事者個人に任されるため冗長で、無用な情報まで含みます。 私たちの研究では、歩行時、上肢特定の部位に適切なタイミングで触刺激を提示することで上肢運動を変調させ、歩容を変化させようと考えています。

ヒトの姿勢制御機能は、視覚・平衡感覚・体性感覚の感覚入力によって絶妙に制御される重要な機能です。 姿勢制御機能と感覚入力との関連性に関して、従来より足底部からの感覚情報が身体の前後方向の位置の把握や身体動揺の調節に関与することが知られています。 私たちの研究では、足背部にマトリクス状に配置した触刺激(MSTS)パターンを利用して姿勢や歩容を誘導する方法を検討しています。


【随意運動・運動学習のゆらぎ解析】

ヒトの随意運動とはヒトの意思によって遂行される運動で,認知的制御と身体的制御により制御されています。 認知的制御は意識的な運動に用いられる制御であり,身体的制御は無意識的な運動に用いられる制御になります。 ヒトはこれらの運動機構制御を組み合わせて目的とする動作を行いますが、運動している本人でさえ諸動作を行う際に何れの運動制御機構を用いているか評価することは難しいことです。 私たちの研究では、同期タッピング課題と運筆課題を組み合わせた2重課題実験系を構築し、この実験系で得られる時系列データをゆらぎ解析することにより運筆動作の習熟度を定量評価しています。

ピック・アンド・プレース動作はワークを把持し,移動させ,所定の位置で離すという人間の日常においてよく見られる一般的な随意運動の一つです。 ピック・アンド・プレース動作の一つである豆つかみはリハビリテーションや高齢者施設などで使われており,脳の活性化により認知症予防や後遺症回復のトレーニングに効果があるとされています。 現在の主なピック・アンド・プレース動作の評価方法は回数や時間ベースとなっており,被験者の意図により評価結果が変わってしまいます。 そこで私たちの本研究では,同期タッピング課題とピック・アンド・プレース動作とを組み合わせた二重課題法を用いてピック・アンド・プレース動作のゆらぎを抽出,被験者の意図が反映されない動作習熟の評価方法を検討しています。


今後の展開

触刺激で身体運動をナビゲーション

触覚ディスプレイ技術を応用して身体の動作を提示、誘導する技術や運動学習支援の技術へと発展させていきます。

身体運動とゆらぎ

お習字などは運動学習のひとつと言えましょう。 字を書く速さ、タイミングはその都度、変動しています。 字を書くタイミングを一種のリズム知覚と関連付けて計測・解析すると、そこにゆらぎ現象が確認されます。 1/fゆらぎはヒトにとって心地良いリズムとして感じられるもの。 文字手書きは随意運動ですが、 1/fゆらぎが生じるときは必ずしも随意ではないようです。 このことを利用して文字の手書きにおけるストレス・疲労の定量化、リハビリテーションや運動学習の習熟診断といった方向へ展開していきます。

バルーンロボット

研究室の代名詞にもなっている魚型バルーンロボットは、プロペラに依らない空中遊泳に特徴があります。 魚のくねり運動を模倣するロボットですが、空中を推進するには必ずしもくねりが適切でないかもしれない水棲生物型飛行船。 バルーンでロボット体が構成されるバルーンロボットの自律的空中遊泳、魚群形成から空中水族館開館へと展開していきます。


研究関連動画


2022.11 2022年 バルーンロボット 実験風景 mp4
2021.12 2021年 バルーンロボット 実験風景 mp4
2021.5 魚型バルーンロボットの変遷 mp4
2021.5 魚型バルーンロボットテスト映像(2020) 大学院オープンラボ2021 mp4
2017.4 体育館テスト飛行(2017/4/14) mp4
2015.11 西9号館テスト飛行 avi
2013.11 調布祭オープンキャンパスでのデモ wmv
2011.06 DIGINFO TV html
2009.10 飛行試験「マンマシンインタフェース」 avi
2009.10 飛行試験「自律化へ最初の一歩」 wmv
2009.07 オープンキャンパスでのデモ mp4
2009.04 調布放送局の番組 wmv
2008.11 Robot Watchの記事(2008/11/13) html
2008.10 大会決勝 mp4
2008.10 大会予選 mp4
2008.10 大会テスト飛行 mp4
2008.10 大会前の体育館テスト飛行 asf
2007.01 停滞期 wmv
2007.11 研究室公開客寄せオブジェ avi
2007.03 Robot Watchの記事(2007/03/27) html
2004.10 創成期『修論テーマの胸鰭ロボット』 avi
2004.10 創成期『修論テーマの魚ロボット』 avi
2004.10 創成期『ゼミ配属最初の製作課題として』 avi
2003.02 創成期『卒研テーマ。浮かせて泳いだ第1号』 avi

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